設備女子のつぶやき – インフレスライド
こんにちは。設備女子です。
今回は“インフレスライド”について説明します!
「インフレスライドは、材料価格を含む物価や賃金等の変動に伴う価格水準全般について、急激なインフレーション又はデフレーションといった短期間で急激な変動が生じた場合の中間修正的な変更である。」(国土交通量:「スライド条項に関するFAQ」より)
最近は日本全体で物価や賃金が上がっており、建設業でも資材やその輸送費、労務単価などが年々上昇しています。弊社にも、材料屋さんなどから「みんな厳しいとおもうけど、うちもカツカツですねん。4月から材料価格を25%上げさせてもらいまっせ。(意訳)」といったお手紙が、沢山届くようになりました。
通常の工事では、発注者が予算を組みはじめてから実際に工事の入札が行われるまで1年ほど期間があります。更に、工事入札が終わってから工事か完了するまでには数か月~数年の期間が経過します。つまり、当初予算を組んだ時点から実際に工事を進めるまでの数年単位の時間の中で、同じ工事内容でも、物価や賃金の上昇時には、工事にかかる金額は多くなってしまうということです。
たとえば工事に必要な1本の配管があるとします。入札時には1万円で買えたこの配管が、実際に工事する時には1万5000円になっているのです。でも発注者からは1万円しか貰えない、となると材料単体でみると5000円の赤字になってしまいます。これが材料費だけでなく労務費や運搬費、電気代など様々な項目で同時に値上がりした場合、受注者は大きな赤字になってしまうかもしれません。
こういったとき役に立つのが工事発注者と受注者間の契約約款に記載する「スライド条項」です。
発注者の年度始まりなどのタイミングで上記の差額分を受注者が「これだけ値上がりしてます!」と申請すると、工事中の案件で、未だ工事が終わっていない部分については、材料費や労務費などの値上がり分の金額追加を検討してもらえます。(既に工事が完了している分については1円も貰えません(৹˃ᗝ˂৹))
公共工事では上記のような「スライド条項」措置がありますが、民間工事ではこういったスライド制度はありません。するとどうなるか。モノの値段が上がり、受注者だけで無理に赤字を吸収しようとすると、そのしわ寄せが働き手の賃金に及びます。これはとても悲しいことです。
建設業に限らず発注者の立場は強いもので、受注者が契約金額変更の申し出を行うのは難しい雰囲気がありますが、それを受け入れ正当な価格転換が進むような業界になればいいなと思いました。