デジタル化への道 その7– BIM(ビム)でできること

BIM(ビム)とは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称で、コンピュータ上で「モデル」と呼ばれる3次元データを作成するツールのことを言います。

従来の2次元CAD(jwCAD・AutoCAD)や3次元CAD(SketchUP)などと区別され、代表的なソフトは以下の通りです。
建築BIM: Rebit(レビット)・Archicad(アーキキャド)・Vectorworks(ベクターワークス)
設備BIM: Rebro(レブロ)・Tfas(ティーファス)・FILDER(フィルダー)

CADとBIMの違いは一言でいうと、線が「情報」を持つか否か です。
CADの場合、「線」は「線」でしかなく 平面図、立面図などはリンクしていません。しかしBIMの場合、コンピュータ上にX・Y・Z軸の「空間」があり、その上に「線」の集合体である「要素」を配置します。「要素」とは、例えば「塩ビ管」や「室外機」、「壁」、「床」といったものを言い、要素はそれぞれ「情報」を持っています。(この「情報」の話はまた今度書きますね。)

そんな感じで出来上がった「要素」の集合体のことを「モデル」と呼ぶわけですが、これは現実世界で「材料」の集合体を「建物」や「設備」と呼ぶのと同じです。簡単に言えば「要素」=「材料」、「モデル」=「建物」・「設備」です。

私がBIMを使ってみて良かったところは以下の通りです。

【良かった点その1】断面図やアイソメ図が自動作成できる!

三次元データなので、平面図を描けば、自動的に断面図も作成できます。平面図を修正すると断面図も自動的に修正されます。断面上収まりが厳しい部分もリアルタイムで把握できるので「あ、断面がおさまらない!平面も書き直さなきゃ~」といった事態が減ります。また、3Dデータは視点を自由に変えられるため、他の人に説明するときにとても有効です。

【良かった点その2】施工上無理な部分をエラーで教えてくれる!

施工図は工事の基準となる資料です。通常施工図は施工管理者が描き、職人さんがそれを見て施工しますので、間違ってはいけない重要な資料です。現実的には施工できない配管のルートや接続を間違って描いてしまうと、現場で「ここ施工できないじゃん!!!」とあたふたし、材料を発注し直したり、職人さんや他の工事に迷惑をかけたりと大変です。
BIMではそもそも無理な施工図を描いた時点で「配管が梁にあたっている」「配管サイズが違って接続できない」「管同士をつなぐのに十分なスペースが無い」などと教えてくれます。また、配管やダクト、器具の種類を指定して描き始めると、その材料に必要な継手や支持部材などを自動で選んでくれるため、若手でも間違いの少ない図面を描くことができます。

×印で教えてくれます

【良かった点その3】材料を自動で集計できる!

「材料の拾いだし」は現場作業のひとつで、通常は施工図をもとに配管が何メートル、接手が何個、と手作業で数えていきます。BIMでは配管も継手もすべて「要素」というデータなので、自動集計が可能です。自動集計されたデータを間違いが無いかチェックし発注、という流れにすることで材料を拾い出す時間を短縮するだけでなく、数え間違いや勘違いによる拾い漏れも無くすことができます。
さらに、積算ソフトと連携すると、最新の材料単価データを元に工事の見積を自動作成することも可能です。

系統や管の種類を指定しての拾い出しも可能です

BIMとはいろいろな可能性を持ったツールですので、社内で活用できるよう環境整備を進めていきたいと思っています。
他にもいろいろといい点がありますが、それはまたの機会に投稿します( *´艸`)